特許権は、他人に特許発明を実施しないことを請求できる権利です。そのような権利が誰にも明らかにされなければ恐ろしくて事業などできませんから、特許権は、必ず公開されます。
そして、他人にこのような請求が可能である以上、特許発明は価値のあるものでなければなりません。
大まかにいえば、特許権の取得手続きは、出願をし、特許庁の審査を受けて、登録査定を得て、登録料を支払う、という流れになります。
・出願 特許出願は、その後のすべての手続きの基準となる重要な手続きです。出願書類を基準にして審査がされ、内容の修正は最初の出願書類に記載された範囲内で行わなければなりません。
・審査 特許庁の審査を受けるためには、出願日から3年以内に審査請求をしなければなりません。審査では特許要件の有無が特許庁の審査官によって審査されます。
・登録 登録査定を受けるだけでなく、登録料(1〜3年分の特許料)を納めなければ、特許権は成立しません。
発明に特許権が付与されるためには、主として、以下のような要件を満たしている必要があります。
要件 | 根拠法 | 概要 |
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発明性 | 特許法2条1項 | スポーツのルールなど人為的な取り決めは発明と認められません。 |
産業上利用可能性 | 特許法29条1項柱書 | 人間の治療、手術、診断方法は、産業上利用可能性が認められません。 |
新規性 | 特許法29条1項 | 既存技術は新規性が認められません。既存の範囲は日本だけでなく、外国も含みます。 自らの学会発表など、一定の場合には新規性喪失の例外の手続きをとることができます。 |
進歩性 | 特許法29条2項 | 既存技術から容易にたどり着きうる発明は、進歩性が認められません。 |
先願 | 特許法39条 | 同一発明については、先に出願をした者にのみ特許権が与えられます。 | 拡大先願 | 特許法29条の2 | 先願の明細書等に記載された発明・考案と同一の発明については、特許を受けることができません。 |
法は、発明をするのは人間であって会社ではない、という考えを基礎としています。そのため、たとえ会社の従業員が会社の業務として会社の研究開発施設を用いて発明をしたとしても、発明者は従業員個人です。
しかし会社の開発コスト回収は極めて重要です。このため、いわゆる職務発明規定(特許法35条)が設けられています。
会社は、従業者から職務発明を譲り受けることを、職務発明規定などによりあらかじめ定めておくことができます。
この職務発明規定は、判例などを通じて、年々適切なものが変化しております。ぜひ弁理士にご相談ください。